削減
ざっくり言うと
ダイエットでいうなら、「食事制限と運動で自分の体重を落とすこと」です。 「脂肪吸引(除去)」や「太った分だけ痩せてる友人に課金する(オフセット)」ではなく、自分の生活を変えて結果を出すことを指します。
ちゃんと説明すると
「削減」なんて普通の日本語じゃん、と思うかもしれませんが、サステナビリティ業界では「何が削減で、何が削減じゃないか」がきちんと区別されています。
ここでは、大きく2つの階層に分けて説明します。
1. 一般的な定義(広義の削減)
まずは広い意味での「削減」です。 これはシンプルに、企業活動によって生じる環境負荷の絶対量を減らすことを指します。
- 資源の削減: 製品を作るのに使う材料を減らす(薄くする、小さくする)。
- 廃棄物の削減: 工場から出るゴミを減らす、歩留まり(良品率)を上げて失敗作を減らす。
- 水使用量の削減: 洗浄に使う水を循環させて、新しく汲み上げる水を減らす。
- 有害物質の削減: アスベストや水銀など、危ない物質の使用をやめる、または減らす。
要するに、「無駄をなくして、効率よくする」という、昔から日本の製造現場が得意としてきた「カイゼン」活動の多くがこれに当たります。
2. GHG排出量削減というときの定義
気候変動(脱炭素)の文脈で「削減(Reduction)」というときは、もっと定義がシビアになります。
結論から言うと、「自社の敷地とバリューチェーン(Scope 1-2-3)から大気中に出るCO2を、物理的に減らすこと」だけが「削減」と呼ばれます。
これがどういうことかというと、以下のものは「削減」にはカウントされないんです。
- × オフセット(カーボンクレジット)
「うちは100トン出しちゃったけど、アマゾンの森林を守るプロジェクトにお金払ったから、プラマイゼロで削減完了!」 → これは「埋め合わせ」であって、「削減」とは認められません。自分の体重は減ってないですよね? - × 回避(Avoidance)
「うちの高性能な断熱材を使えば、お客さんの家のエアコン代が減ります!社会全体の排出を減らしました!」 → これは「削減貢献量」といって素晴らしいことですが、自社の排出量が減ったわけではないので、自社の「削減目標」には入れられません。 - × 除去(Removal)
「空気中のCO2を吸い取る機械(DAC)で回収しました!」 → これは「除去」という別枠の扱いです。
なぜそんなに厳しいの?
国際的な基準(SBTiなど)を作っている人たちは、「まずお前が減らせ」という考え方をとても大事にしています。これを専門用語で「ミティゲーション・ヒエラルキー(緩和の階層)」と呼びます。
- 回避・削減(Reduce): まず出すな。減らせ。これが最優先。
- 除去(Remove): どうしても出ちゃう分だけ、あとで回収しろ。
という優先順位があるんですね。 なので、省エネ設備を入れたり、再生可能エネルギー電気に切り替えたりして、「自分たちの活動から出る煙そのものを減らす」ことだけが、胸を張って「削減しました!」と言えるわけです。
※本サイトの解説は「ざっくり分かること」を目的としています。専門的な正確性は保証できないため、正確な情報が必要な場合は専門機関の一次情報をご確認ください。
この用語が出てくる他の記事
- カーボンクレジット目に見えない「CO2削減量」や「吸収量」を、「1トン減らした証明書」として発行し、お金で売り買いできるようにした仕組みのことです。 いわば、「環境にいいことをしたという『手柄』を、誰でも売買できるチケ...
- バリューチェーンを超えた緩和「自分の部屋(自社)を掃除するのは当たり前として、まだ汚してる分の『お詫び』として、近所のゴミ拾い(社外貢献)にもお金出そうよ」という活動のことです。 「バリューチェーンを超えた緩和(BVCM)」は、...
- SBT「地球温暖化を止めるために、科学的に計算したらあなたの会社はこれくらい減らさないとダメです」という、ちゃんとした根拠に基づいたCO2削減目標のことです。 SBT(Science Based Targe...