ESRS

  • CSRDで「何を報告するか」を決めている基準です
  • 12の基準(環境5つ、社会4つ、ガバナンス1つ、横断的2つ)を持っています
  • ダブルマテリアリティが特徴です

ざっくり言うと

CSRDで「報告しなさい」と言われた企業が、「じゃあ具体的に何をどう書けばいいの?」っていうときに見るものです。

ちゃんと説明すると

ESRSというのは「欧州サステナビリティ報告基準」の略で、CSRDで報告せよと言われた企業が、実際に何をどう報告すればいいかを細かく決めている基準です。

 

CSRDとESRSの関係

CSRDが「サステナビリティ情報を報告しなさい」という法律で、ESRSは「こういう項目を、こういう形式で書いてね」という具体的なマニュアルです。

例えるなら、CSRDが「レポート提出しろ」という指示で、ESRSが「表紙にこれ書いて、1章にはこれ、2章にはこれ、データはこの形式で」っていう出題範囲と解答用紙みたいな感じです。

CSRDの対象企業は、このESRSに従って報告書を作らないといけないわけです。

 

12の基準って何?

ESRSは全部で12の基準で構成されています。大きく分けると4つのカテゴリーがあります。

 

横断的基準(2つ)

  • ESRS 1:報告の原則やルール
  • ESRS 2:全般的な開示事項(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)

この2つは全員が必ず報告しないといけない部分です。

 

環境(5つ)

  • E1:気候変動
  • E2:汚染
  • E3:水と海洋資源
  • E4:生物多様性とエコシステム(生態系)
  • E5:資源利用とサーキュラーエコノミー(循環型経済)

 

社会(4つ)

  • S1:自社の従業員
  • S2:バリューチェーン(サプライチェーン)の労働者
  • S3:影響を受けるコミュニティ(地域社会)
  • S4:消費者と最終利用者

 

ガバナンス(1つ)

  • G1:企業の行動

環境・社会・ガバナンスの10個については、自社にとって重要なものだけ報告すればOKです。ただし気候変動(E1)だけは、報告不要と判断する場合でも「なぜ不要なのか」を詳しく説明しないといけないです。

 

ダブルマテリアリティって何?

ESRSの大きな特徴が「ダブルマテリアリティ」という考え方です。

これは2つの方向から重要性を見るというものです。

外→中(財務マテリアリティ) 環境や社会の問題が、自社の儲けにどう響くか

中→外(インパクトマテリアリティ) 自社の活動が、環境や社会にどんな影響を与えているか

 

例えば飲料メーカーなら、

  • 外→中:水不足になったら商売できなくなる(自社の儲けに響く)
  • 中→外:工場排水で川を汚してしまう(社会に響く)

この両方を報告しないといけないわけです。

 

ちなみにISSB基準とか日本のSSBJ基準は「外→中」だけ(シングルマテリアリティ)なので、ESRSの方が報告範囲が広いです。

 

報告の4本柱

ESRSでは、各テーマについて以下の4つの観点から報告することが求められています。これはTCFDと同じ枠組みです。

  1. ガバナンス:誰がどうやって管理してるの?
  2. 戦略:どういう方針でやってるの?
  3. リスクとインパクトの管理:どうやってリスクと悪影響を見つけて対応してるの?
  4. 指標と目標:具体的な数字と目標は?

 

回答欄が1000以上

最初のESRS(2023年版)では、報告しないといけないデータポイント(具体的な項目)が1000を超えるといわれていました。

例えば気候変動だけでも、Scope1・2・3の排出量、削減目標、移行計画、物理リスク、移行リスク、機会、エネルギー消費量、再エネ比率などなど、膨大な情報を出さないといけないです。

企業からすると「多すぎない?」って話で、実際に負担が大きいという声がたくさん出ました。

 

最近の簡素化の動き

企業からの「負担が重い」という声を受けて、2025年2月に「オムニバス法案」というのが出てきました。

この法案で、報告負担を大企業で25%、中小企業で35%減らすことを目指しています。具体的には、

  • データポイントの削減
  • 任意開示項目の全削除
  • 重複している要件の統合
  • 段階的導入の拡大
  • セクター別基準の開発中止

などが含まれるようです。ただし気候変動対応とか中核的な目標は維持されるので、「ちょっと減らすけど、基本は変わらないよ」という感じです。

 

他の基準との関係

ISSBやSSBJ基準との違い ISSB(国際サステナビリティ基準)や日本のSSBJ基準は、主に投資家向けで「財務への影響」に焦点を当てています。

ESRSは投資家だけじゃなくて、従業員、消費者、地域住民などもっと広い人たちを想定していて、「社会や環境への影響」も含めています。

だから報告範囲が広くて、その分大変なわけです。

 

GRIスタンダードとの関係

GRIスタンダードは「企業が社会や環境に与える影響」を報告する基準で、ESRSのインパクトマテリアリティ(中→外)の部分と似ています。

ESRSを作るときもGRIを参考にしていて、ある程度整合性が取れているといわれています。

 

実務的には何が大変?

ESRSで報告するには、かなりの準備が必要です。

データ収集が大変
Scope3の排出量とか、サプライチェーンの労働者の人権状況とか、今まで集めていなかったデータを集めないといけないです。

マテリアリティ(大切なこと)評価が大変
「どの項目が自社にとって重要か」を判断するダブルマテリアリティ評価をやらないといけないですが、これが結構難しいです。

第三者保証が必要
報告した内容は外部監査(問題ないぜチェック)を受けないといけないので、しっかりしたデータ管理の仕組みが必要になります。

まとめ: ESRSは「こういう項目を、こういう形式で書いてね」という具体的なマニュアルです。

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