クレジット

  • 「環境にいい」という目に見えない価値(付加価値)だけを切り出したもの
  • 「物(電気や製品)」と「価値(クレジット)」を別々に取引するためにある

ざっくり言うと

電気や商品にくっついている「環境にやさしいよ!」という「目に見えない属性」だけを幽体離脱させて、売買可能なチケットにしたものです。 野菜で例えるなら、「有機野菜そのもの」とは別に、「有機栽培で作りましたという証明書」だけを別の人に売ることができる仕組みです。

ちゃんと説明すると

サステナビリティの世界では、「実際に物が手元にあるか」だけでなく、「その背景にあるストーリー(環境価値)」も大事にされます。でも、電気や水といった資源は、一度混ざってしまうと区別がつきません。

そこで生まれたのが「クレジット(証書含む)」という発明です。これは物理的な「物」から、環境的な「価値」を分離(アンバンドルと言います)する技術です。

なぜこんなものが必要なの?(「混ぜるな危険」ではなく「混ざると不明」)

一番わかりやすいのが「電気」です。 電力会社の送電線(グリッド)は、巨大なプールみたいなものです。そこに「太陽光発電の電気」も「石炭火力の電気」も全部ジャバジャバ流し込まれます。 一度プールで混ざったら、あなたの家のコンセントに届いた電気が「太陽光由来」なのか「石炭由来」なのか、物理的に判別するのは不可能です。電子に色はついていませんから。

そこでこう考えます。

  1. 物(電気そのもの): 誰が使っても同じ電気。普通の値段で売買する。

  2. 価値(再エネであること): 「私が太陽光で作りました」という証明書(クレジット/証書)を発行する。

この「クレジット」を買った人だけが、「私は太陽光の電気を使いました!」と胸を張って言える(主張できる)権利を得るわけです。これがクレジットの基本原理です。

クレジットの3大カテゴリー

「クレジット」という大きな箱の中には、何を価値としたかによって色々な種類が入っています。

1. 炭素クレジット(Carbon Credits)

  • 価値: 「CO2を1トン減らした・除去した」こと。

  • 用途: 自分の排出したCO2と相殺(オフセット)するため。

 

2. 電力証書・再エネクレジット(EACs: Energy Attribute Certificates)

  • 価値: 「この電気は再エネで作られた」という属性(素性)。

  • 例: 非化石証書(日本)、グリーン電力証書、I-REC(国際)、GO(欧州)。

  • 用途: 「うちは再エネ100%で操業してます(RE100達成)」と言うため。

    • ※厳密には「証書」と呼ばれますが、広義のクレジット概念に含まれます。

 

3. ネイチャー系クレジット(Biodiversity / Water Credits)

  • 価値: 「生物多様性を守った」「水をきれいにした・節約した」こと。

  • 状況: 今まさにルール作りが進んでいる最先端エリア。「森の生態系を守った」という価値を売買します。

 

よくある誤解

「クレジットを買う=免罪符を買う」と思われがちですが、本来の役割は「価値の移転」です。

例えば、再エネ発電所を建てたいけれど資金がない人がいたとします。その人が「将来できる再エネの価値(クレジット)」を先に企業に買ってもらえれば、発電所を作るお金が手に入ります。 つまりクレジットは、「環境活動にお金が回るようにするための金融ツール」なんですね。

まとめ: クレジットとは、電気や製品から「環境にいい」という価値だけを引っこ抜いてチケットにしたもの。このチケットがあることで、物理的に遠く離れた場所の環境活動を支援したり、自分の実績として活用したりできる。

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