デュー・デリジェンス

  • 「当然やるべき注意」という意味
  • M&Aでは買収前の調査のこと
  • サステナビリティでは、取引先の人権問題・環境問題を見つけて対処することを指す

ざっくり言うと

「やらかす前にちゃんと調べて、問題を見つけたらきちんと対処する」ということです。

ちゃんと説明すると

そもそもどういう意味?

デューデリジェンスというのは、「Due(当然の)」+「Diligence(注意・努力)」を組み合わせた言葉で、直訳すると「当然やるべき注意」という意味です。略して「DD」とか「デューデリ」って呼ばれることもありますね。

ただ、この言葉は使われる場面によって意味が結構違うんです。大きく分けると2つあります。

 

M&Aのデューデリジェンス

ひとつ目は企業買収のときの調査活動です。

会社を買うとき、相手の会社がどんな状態なのか調べますよね。業績に問題がないか、法的なトラブルを抱えてないか、従業員をこき使っていないか、みたいなことです。

これは結婚前の身辺調査みたいなものです。後から「実は借金まみれだった!」とか「裁判抱えてた!」とかわかったら大変ですから。買い取り価格が適正かどうか判断したり、買収後のリスクを把握したりするために、財務・法務・人事・ITなど、いろんな角度からめっちゃ調べます。

 

サステナビリティのデューデリジェンス

もうひとつが人権・環境問題に対する継続的な取り組みです。こっちが最近すごく注目されています。

これは「自分の会社やサプライチェーンが、人権侵害とか環境破壊を引き起こしてないか調べて、問題があったら対処する」ことです。

 

なんで必要になったの?

いろいろな会社の活動がグローバル化して、世界中にサプライチェーンが広がりましたよね。すると、自分の会社は真面目にやってても、遠く離れた取引先の工場で児童労働が行われてたり、原材料の採掘現場で環境破壊が起きてたりするわけです。

1990年代から2000年代にかけて、こういう問題が次々と明るみに出て、NGOや市民団体が「企業は責任取れよ!」って声を上げるようになりました。

そして2011年、国連が「ビジネスと人権に関する指導原則」というものを発表したんです。これが大きな転換点になりました。この指導原則で、企業には人権を尊重する責任があること、そのために人権デューデリジェンスを実施すべきことが明確にされたわけです。

 

具体的に何をするの?

サステナビリティのデューデリジェンスは、大きく4つのステップに分かれています。

 

ステップ1: リスクの特定と評価

まず、「どこでどんな問題が起きそうか?」を洗い出します。自社だけじゃなくて、取引先も含めてです。

たとえば服の工場を使っているなら「長時間労働や低賃金の問題はないか?」とか、鉱物を使ってるなら「採掘現場で環境破壊や児童労働はないか?」といった感じで、リスクが高そうな場所を特定します。

 

ステップ2: 予防・軽減措置

問題が見つかったら、または起きそうだったら、それを防ぐ手を打ちます。

取引先と契約を結ぶときに人権尊重の条項を入れたり、工場の労働環境を改善するよう働きかけたり、場合によっては取引を見直したりします。予防接種みたいに、病気になる前に対策するイメージですね。

 

ステップ3: モニタリング

対策が実際に効いてるかどうか、定期的にチェックします。

監査を入れたり、現地訪問したり、労働者や地域住民の声を聞いたりして、問題が改善されてるか確認するわけです。一度やって終わりじゃなくて、継続的にやることが大事なんです。

 

ステップ4: 情報開示

どんな問題があって、どう対処したか、どんな成果が出たかを公開します。

これは単なる報告じゃなくて、「ちゃんとやってますよ」という証明でもあります。隠してると「何か後ろめたいことでもあるの?」って思われちゃいますからね。

 

どこまで見るの?

これが結構大変なところで、自社だけじゃなくてサプライチェーン全体が対象になります。

直接取引してる会社(Tier 1)だけじゃなくて、その先の取引先(Tier 2、Tier 3...)も含めてです。スマホを作ってる会社なら、部品メーカーだけじゃなくて、その部品に使われてる鉱物の採掘現場まで、理論上はチェック対象になるわけです。

もちろん、全部を完璧に把握するのは無理ですよね。だから「リスクが高いところから優先的に対応する」というアプローチが認められています。深刻度と可能性を考えて、優先順位をつけてやっていきます。

 

世界の動き

欧州では、もうデューデリジェンスが法律で義務化されてます。

イギリスが2015年に現代奴隷法を作って、サプライチェーンの人権リスクを確認して開示することを義務付けました。フランスは2017年に企業注意義務法、ドイツは2021年にサプライチェーン法を制定してます。

そして2024年、EUがCSDDD(企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)を発効させました。これでEU全体で統一的なルールができたわけです。

アメリカも厳しくなってきていて、強制労働に関わった製品の輸入を禁止する措置を強化しています。2021年にはユニクロの綿シャツが輸入差し止めを受けて、大きなニュースになりましたよね。

 

日本の状況

日本では、まだ法的義務にはなってません。

ただ、2020年に政府が「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定して、企業に人権デューデリジェンスの導入を期待すると表明しました。

2022年には経産省が「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表して、具体的にどうやればいいか示しています。

とはいえ、実際にやってる日本企業はまだ少ないです。ジェトロの調査によると、実施してるのは全体の1割程度で、5割近くが「実施する予定はない」と答えてるそうです。

でも、EU向けに輸出してる企業や、グローバルな取引先を持ってる企業は、もう対応せざるを得ない状況になってます。トヨタとかソニーとかファーストリテイリングみたいな大手は、すでに本格的に取り組んでますね。

 

なんでこんなに重要なの?

デュー・デリジェンスの実施は、単なる「いいことしましょう」というボランティア的な話ではありません。きちんとやってないと、EU市場から締め出されたり、取引停止されたり、高額の罰金を科されたりする可能性があります。ブランドイメージも傷つきますし、投資家からも敬遠されます。

まとめ: デュー・デリジェンスはめっちゃ調べることです。人権・環境デュー・デリジェンスは、欧州では法律で義務化が進んでいて、日本企業も無視できない状況になってきています。

※本サイトの解説は「ざっくり分かること」を目的としています。専門的な正確性は保証できないため、正確な情報が必要な場合は専門機関の一次情報をご確認ください。